新世代の航空機: B747からA380へ ~つづき
今週も先週に引き続いて「機材の世代交代」についてお話しようと思います。
1960年代から1970年代にかけて、ボーイング社が圧倒的な強みを発揮して、世界の主要航空会社から次から次へと新型機の受注を受けていました。
さらに1980年代に入りB747-300型機が開発されると、大型機のマーケットはボーイング社のほぼ独占状態になり、
ライバルであったエアバス社は大型機の開発を諦め、中・小型機の開発に力を入れ始めました。
そして、80年代の後半に登場したのがジャンボの最新鋭機B747-400型機です。
これは従来のジャンボと比べて画期的な機能と性能を誇る大型航空機でした。
航続距離が従来のジャンボよりもかなり伸びたのです。
たとえば 大人気のシンガポール-ロンドン間は、従来のジャンボ機の場合、途中 一箇所ストップオーバー(中継地点で一度着陸すること)して給油 しないと飛べなかったのですが、
この新型機はノンストップでシンガポール-ロンドン間を楽々と飛ぶことができ、乗客にとっても航空会社にとっても非常に便利になりました。
更にもう一つ画期的なことは、B747-400型機は コクピットクルー(操縦士)を二人で飛ばすことができるようになったことです。
従来のジャンボはコクピットクルーを三人乗せないと飛ばすことができませんでした。
したがって航空会社にとっては、このB747-400型機は人件費のコスト削減にも大きく役立ちました。80年代後半から2000年代半ばまではこのB747-400型機が世界の主力航空機として活躍したのです。
一方のエアバス社はA300型、A310型から更に新しい機種の開発に力を入れて、A320型、A330型、A340型などの開発をして、長距離輸送や燃費に優れ、しかも環境にやさしい機種を次々に開発して、
2000年代に入ってからは一時ボーイング社の売り上げをしのぐ年もあったぐらいです。
そして遂に2006年にA380型機(スーパージャンボ)が登場しました。
この総2階建ての新しい機種は国際線のスリークラス編成で約550席、国内線のオールエコノミークラス編成で850席搭載可能で、
正に次世代の超大型機として注目を集めています。
日本に初めて定期便としてA380型機を就航したのはシンガポール航空で、2008年5月のことでした。
今では、ルフトハンザ航空やエールフランスなども 日本にこの超大型機を運航しています。
当初一機350億円で取引されていましたが、今は円高の関係で一機280億円になりました。
中には まとめて数十機を発注する会社もありますから、エアラインの資本力があらためて実感されます。
ライバルのボーイング社もこのまま引き下がれないとばかりに、B767型、B777型を開発し、そして満を持して新たにB787型機(ドリームライナー)を開発しました。
この飛行機は 日本のメーカーが共同開発しているということで注目を浴びました。座席数は250程度と中型ながら、航続距離はA380とほぼ変わらず、“燃費の良さ”がアピールポイントです。“地球にやさしい”飛行機はこれからのエアラインにどう影響を与えるでしょうか。
当初2008年に一番機がANAに納入される予定でしたが、現段階では早くとも2011年春に一番機が納入される予定です。 (S)